2016年05月16日 - ビジネスブログ

オールウィン社会保険労務士事務所
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2016年05月16日 [Default]
現在の法律では定年年齢は最低でも60歳とするよう求められております。
そして、65歳までの希望者への再雇用や、定年延長が義務付けられております。
これは主に年金支給開始年齢が引き上げられたことに伴う措置です。

この度、某社で定年後に再雇用されたトラック運転手が、「定年前と同じ業務」なのに賃金を下げられたのは違法だとする訴訟の判決があり、裁判所は「業務の内容や責任が同じなのに賃金を下げるのは、労働契約法に反する」として、某社に定年前の賃金規程を適用して差額分を支払うように命じました。

定年に達した社員を、1年ごとの嘱託社員として再雇用する事例は非常に多くあります。
そして大方の企業が賃金に関しては定年前より引き下げて契約しているのではないでしょうか。

問題は、「職務内容」や「責任」等の労働条件が定年前と比較してどうか!?ということになります。

労働契約法20条は、正社員のような無期雇用で働く人と、再雇用など有期雇用で働く人との間で、不合理な差別をすることを禁じております。
判決でも「特段の事情」がない限りは、同じ業務内容にもかかわらず賃金格差を設けることは不合理だと指摘しております。

某社は、「運転手は賃下げに同意していた」と主張しましたが、それも特段の事情には当たらないと退けております。

実際、ある調査では、企業の83・8%が、再雇用者は「定年時点と同じ仕事内容」と答え、賃金は「定年時の68.3%」と答えております。

現時点でも多くの企業が同様の条件のもと嘱託社員として働かせているのではないでしょうか。

今すぐにでも対応を考えなければならない状況に立たされていると言ってよろしいでしょう。

どうすればいいのか?
判決でも求めている「職務内容」「責任」を定年前と比較してどうかを再度チェックしましょう。
他にも、労働時間や労働日数、異動や転勤の有無等、「特段の事情」に当てはまるかどうか再チェックしましょう。

「特段の事情」が無ければ、すぐに対応を考えなければなりません。
今回の判決を受けて、今後も同様の訴えが起きてくる可能性が高まります。
政府も「同一労働同一賃金」に向けて動いている最中です。

お悩みの際には、私ども専門家である社会保険労務士に是非ともご相談ください。

嘱託社員

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