2016年05月 - ビジネスブログ

オールウィン社会保険労務士事務所
就業規則作成 助成金申請なら
2016年05月31日 [Default]
建設業は昔から休日が少なかったり、労働時間が不規則であったりという問題があります。
全ての建設業者がそうではないと思いますが、とりわけ人数の少ない中小企業の建設業はそういった問題を抱えているのではないでしょうか。

建設業の経営者様とお話しする際にも、やはり一番のネックになるのが休日です。
工期があるのでなかなか決められた曜日や公休日に休めないのはよく理解できます。
休日が少なくなれば、1週40時間の法定労働時間を超えて残業代の支払いの必要も出てきます。
建設業だけではなく、多くの経営者様がこういったお悩みを抱えているのが中小企業の実情だと思います。

この度、日本建設業連合会が、適正な労働条件を前提に工期を計算するソフトを開発したとのことです。
目的は、建設現場での週休2日制や労働時間の短縮、夏季休暇導入等の実現です。

今の日本経済は「売り手市場」で、建設業においては仕事が多くあるにもかかわらず人手不足も大きな問題となっています。
働き手を確保するには、やはり働きやすい、魅力のある会社でないと難しいと思います。
特に作今の若い世代は昔と違い働きやすい労働環境を求めている傾向が非常に強いです。

業界としても、できるだけ低いコストを求める発注者側と、受注を目指す業者側が、ともに工期短縮に結び付きウィンウィンとなる可能性もあります。

建設業労働者

このソフトが機能して、すべての建設現場で使用されることになれば建設業のイメージもがらりと変わるのではないでしょうか。
建設業のお客様ともお付き合いのある当事務所としても期待せずにはいられません。

ただ、すぐにソフトが機能することは難しいでしょう。
当事務所はソフトに頼らずとも、建設業のお客様のアドバイザーとして、労働条件や労働環境、労務問題等をこれからも親身にご相談に応じていきたいと考えております。

2016年05月30日 [Default]
最近、賃金体系に固定残業代を設けている企業が多くなっております。
実際、当事務所でもお客様の実態に沿って固定残業代の採用をお勧めするケースが多くあります。

固定残業代とは何かと申しますと、
あらかじめ○○時間分の残業代を、残業をしてもしなくても固定的に支給する制度です。
例えば、基本給25万円とだけ謳っていると、残業をすれば25万円に対しての残業単価×残業時間数の残業代の支払うことになります。
これを、「基本給19万円+固定残業手当6万円」と謳っていると、このケースでは約45時間分の残業手当が固定残業手当に含まれていると解釈されることになります。あらかじめ、45時間分の残業代の支払いは不要ということになります。
運用によっては経営者にとって非常にメリットのある制度と言えます。

しかし、実際は運用方法が間違っているためトラブルが多発しているようです。

例えば、前述したように「基本給25万円」とだけ謳い、実際は固定残業代が含まれているにもかかわらず、その内訳や残業時間がわからないためトラブル発生!
これは、会社側がいけません。
基本給25万円のうち、「固定残業代○万円」「固定残業代○○円には○○時間分の残業代を含む」と明示しなければいけないのです。

現在、明示しない求人があればハローワークが企業に是正を求めていますが罰則はありません。
大手企業、中小企業問わず、確実に運用できている企業は3分の1程度というデータも出ています。

全国求人情報協会は会員企業に対し、今年の12月から、指針に沿った適切な表記がない求人広告は掲載しないよう求めています。

とにかくトラブルは避けたいですよね。
固定残業代が明確になっていなかったがために未払い残業代を求められるケースも実際にあります。
運用するからには、従業員にきちんと説明し、納得の上で変更していく必要があります。
勝手に変更すれば「不利益変更」とみなされて、これもトラブルの元です。

固定残業代

当事務所では、固定残業代の導入実績が多数ございます。
導入の際には経営者様と入念な打ち合わせの上、最終的には従業員の皆様とも個々に面談や説明も行います。

現在の状況では不安のあるお客様や、今後導入してみたいというお客様もお気軽にご相談ください。

2016年05月27日 [Default]
中学生の生徒がバドミントン部の部活動中に熱中症になり、後遺障害を負ったのは対策の不備が原因だったとして、女性が市に対して損害賠償を求めた訴訟の判決があり、裁判所は、学校が熱中症を防ぐ義務を怠ったと判断し、女性の請求を認めました。

これから夏に向けてどんどん気温は上昇していきます。
熱中症の未然防止、会社責任を問われないためにはどうすればいいのでしょうか?

そもそも熱中症とはどんな症状なのでしょうか?
熱中症とは、高温多湿な環境下において、体内の水分及び塩分のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして発症する障害の総称であり、症状としては、「めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、大量発汗、頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感、意識障害・痙攣・手足の運動障害、高体温」などが挙げられております。

そして、熱中症は「死に至る可能性のある病態」とも指摘されております。

上記訴訟を会社に置き換えてみてください。
会社には従業員に対しての「安全配慮義務」が課せられております。
そして、「安全配慮義務」を怠った結果、従業員が後遺障害などを負うことになれば損害賠償責任を問われます。

そうです。
これからの季節、どの経営者様も熱中症対策が必要になります!

熱中症

それでは、熱中症対策としてどのようなことをすればいいのかが問題ですね。
厚生労働省では以下のような例を挙げ指導しております。

1・作業環境管理
  @ WBGT値(暑さ指数)の低減に努める
  A 休憩場所の整備
2・作業管理
  @ 高温多湿作業場所での連続作業時間の短縮等に努める
  A 計画的に、熱への順化(熱に慣れ、環境に適応すること)期間を設けるよう努める
  B 水分・塩分の摂取
  C 透湿性・通気性の良い服装、帽子などを着用させる
  D 高温多湿作業場所では巡視を頻繁に行い、健康状態に異常はないかを確認する
3・健康管理
  @ 健康診断及び異常所見者への就業上の措置(作業場所の変更、作業の転換など)
  A 日常の健康管理についての指導、健康相談
  B 作業開始前・作業中の巡視などによる労働者の健康状態の確認
  C 休憩場所などに体温計や体重計などを備え、身体の状況を確認できるように努める
4・労働衛生教育
  @ 熱中症の症状の教育
  A 熱中症の予防方法の教育
  B 緊急時の救急措置の教育
  C 熱中症の事例の教育

こうして並べると大変です・・・。
私も以前勤めていた会社で人事として熱中症予防の計画を任された経験があります。
その際には、まずは上記4の社員教育を行いました。
熱中症予防のポスターを作成して掲示しました。
自動販売機の業者と交渉して、夏場の清涼飲料水の値下げも行いました。
安全衛生委員会で取り上げて周知徹底しました。

参考になるかどうかはわかりませんが、とにかく何もしないよりは事前の「リスク管理」をしておいて損はないです。

リスク管理!!

ちなみに熱中症が労災として認定されるには、次の要件のいずれかに該当する必要があります。
「一般的要件」
@ 業務上の突発的又はその発生状態を時間的、場所的に明確にし得る原因が存在すること
A 当該原因の性質、強度、これが身体に作用した部位、災害発生後発病までの時間的間隔等から災害と疾病との間に因果関係が認められること
B 業務に起因しない他の原因により発病したものではないこと
「医学的診断要件」
@ 作業条件及び温湿度条件等の把握
A 一般症状の視診(痙攣、意識障害等)及び体温の測定
B 作業中に発生した頭蓋内出血、脳貧血、てんかん等による意識障害等の鑑別診断

長くなりましたが、とにかく「リスク管理」をお勧め致します。
一気に全部行うのは大変ですので、できるところから少しずつでも取り組むことです。
こうした業務災害が起きず、従業員みんなが気持ちよく働ける職場づくりをしていきましょう!!

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