2017年11月14日 - ビジネスブログ

オールウィン社会保険労務士事務所
就業規則作成 助成金申請なら
2017年11月14日 [Default]
いよいよ来年、平成30年より「無期転換ルール」が本格的に始まります。
「本格的に」というのは、通算5年のカウントは平成25年4月1日以降に開始した有期労働契約が対象だからです。
つまり「来年4月1日以降どうなるか?」ということになります。

ご存じない?!
それは非常にまずい!!
該当する従業員がいる経営者の皆様は確実に理解しておく必要があります。

「無期転換ルール」とは何か?
⇒労働契約法の改正により、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申し込みによって無期労働契約に転換されるルール

無期転換ルール

簡単な例を挙げれば、1年契約の契約社員をずっと契約更新を続けた結果、通算5年に達したときに契約社員が「無期契約社員」にしてください」と申し出れば、使用者はその通りにしなければいけないということです。
上記の場合だと、5回目の契約更新の際に「無期転換申込件」が労働者に発生します。
その後1年以内に申し込みがあれば翌年の6回目の契約更新の際には無期労働契約になるわけです。

有期契約労働者を多く抱えている大企業などは大変です。
来年に向けて現在様々な動きが出ています。
それは後述するとして、仮に有期から無期に転換したとしても、労働条件(職務、勤務地、賃金、労働時間等)は、別段の定めがない限り、直前の有期契約の時と同一となります。(個別の契約次第で変更可能)
要は、有期契約だと労働者はいつ契約を打ち切られるか不安な状態が続くため、無期契約にして雇用の安定を図ってくださいということです。
当然、無期雇用というだけで「正社員」ではありません。

さて、前述した「様々な動き」ですが、少し前に報道されたのは東京大学の非正規教職員への今後の対応です。
東京大学では、大学独自のルールで「有期契約の契約上限を5年とする」という「東大ルール」を労働契約法改正より前に施行していました。
当然、このルール通りであれば、契約期間は最長でも5年であり無期転換ルールも適用されないということになります。
更に、その後東大はルールを変更し、「パートタイム教職員の再雇用について、クーリング(空白)期間を3ヶ月から6ヶ月に変更しました。

これ、一番の「抜け道」なのです!!

例えば、1年契約で4年間働きました。
その後、6ヶ月間のクーリング(空白)期間の後、1年間契約社員として働きました。
この場合、クーリング(空白)期間が6ヶ月あると、その前の契約期間、つまり4年間はリセットされてしまうのです!!

東大は、この「抜け道」を利用してあらかじめ3ヶ月だとクーリング(空白)期間にならないから、6ヶ月に変更したわけです。
ある意味東京大学がいち早く対応していたのかもしれません・・・。

更に、つい最近自動車大手も無期転換ルールを避けて「骨抜き」にさせる対応をしていたことが判明しました。
トヨタ、ホンダなどの世界に誇る企業です。

「骨抜き」にする方法は、前述の6ヶ月のクーリング(空白)期間の適用です。

これに対し、厚生労働省は法の趣旨にそぐわないとして実態把握する方向です。

大手企業は多くの期間雇用従業員を採用しています。
自動車大手などは、よく求人誌でも「期間工」などの掲載を見ますよね。
「期間工」は非常に重要な人材なのです。
仮に、この「期間工」を「無期間工」にしてしまったら・・・。
仕事の受注がなくなった際に人が無駄に溢れることになります。
人件費を始め、大きく経営を圧迫することになりかねません。

そもそも「6ヶ月のクーリング(空白)期間」を認めたのは国です。
そこを考慮して経営していくのは、経営者として当然だと考えます。
労働者の事だけを考えて、結果企業経営を圧迫しては元も子もありません。
はっきり言って問題化するのは国の失態ですね。

さて、皆様の会社にこのような契約社員、それも契約期間を反復更新している従業員はいらっしゃいますか?
早めに対応を協議しておく必要があります。
期間契約従業員としては、当然無期契約の方が安定して働ける環境を得られるためありがたい制度なのは分かります。
しかし、やはり労使双方がウィンウィンでなければいけないと私は考えます。
中小企業ですと、仮に対象者がいるとしてもそれほど多くの人数はいないと思われます。
大手のような「抜け道」対応ではなく、話し合いによって解決できる部分が多いと思います。
労使双方が納得する形で有期、無期、正社員登用等への道を探っていっていただければと考えます。


このページの先頭に戻る