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オールウィン社会保険労務士事務所
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2017年05月10日 [Default]
社会保険労務士の皆様は既に耳にしているのではないかと思います。

政府の規制改革推進会議において、労働基準監督官の業務の一部を社会保険労務士に委託するように求める提言が出ております。

なぜこのような動きになっているかと申しますと、
現在労働時間等の問題が多発しておりますが、そうしたことを調査や是正すべく動く労働基準監督官の絶対数が少ないことにあります。
ようは、本当はもっと多くの企業の労働実態を調査しなければいけないのにできていないわけです。
できないうちにいろいろな問題がどんどん浮き彫りになってくる・・・という状況なのです。

では社会保険労務士が何をやるのか?
提言では、「時間外労働・休日労働に関する協定届」(36協定届)を届け出ていない事業所を対象に、社会保険労務士が残業の有無などを調べ、問題がある場合には強制捜査権を持っている監督官に引き継ぐ・・・という内容です。
厚生労働省も受け入れる方針だとか。
嫌われ役ですね・・・(苦笑)

確かに労働基準監督官の業務を補佐できる民間の団体だったら、やはり社会保険労務士が妥当ですね。
36協定を届け出ていない企業や、存在自体知らない経営者も全国には山ほどあります。
手分けして調査すれば少しは監督官の負担も減るし、未然に労働問題を防ぐこともできるかもしれません。
でも嫌われますね・・・(苦笑)

さて、私が気になっているのは、「社会保険労務士に」と言ってもどういう基準でどの社会保険労務士に委託するのでしょうか?ということです。
多くの顧問先を持っている社会保険労務士は実質そのような業務を行う時間は無いと思います。
そうなると比較的時間のある社会保険労務士に・・・。
これは大きなリスクをはらんでいると思います。
社会保険労務士といってもいろいろです。
実務経験が無くても社会保険労務士として仕事ができてしまうのです。
経験の浅い社会保険労務士に委託した結果、逆に間違いがあって企業にも監督官にも迷惑をかけてしまったら社会保険労務士への信頼が失墜してしまいます。
この委託する社会保険労務士の選別基準は厳格に決めた方が良いと個人的に思っております。

例えば、年金相談に従事する社会保険労務士も、定められた講習などを受けて選ばれた方だと思います。
社会保険労務士とは別に、個別労使紛争に携わることができる「特定社会保険労務士」なんていうのもあります。
こちらはものすごい時間の講習を受けたのちに、試験を受けて合格するとなることができます。
ようは、その道(今回でいうと労働実態調査全般かと思いますが)の知識が無いとまずいでしょう。

私はというと、
今は顧問先のお客様の業務を日々行っており余分な時間はありません。
多少余分な時間があったとしても、片手間でできる仕事ではないので難しいでしょう。
年金相談員の社会保険労務士も片手間ではなく、そちらが本業でやっているでしょうし。
「特定社会保険労務士」も少しは考えましたが、何しろ講習を受けている時間が無い・・・。
無理して時間を作って「特定付記」になったとしても、現状ではニーズはあまり無い・・・。
そんなわけで、少しずつ顧問のお客様を増やしながら日々頑張っていく方が性に合っています。

社労士

こんな話をしていながら、国で決定した際にはもしかしたら企業に調査訪問することになるかもしれません・・・。
もしかしたらこのブログを見ていただいている経営者の皆様の会社にも・・・。
その時はお手柔らかにお願い致します(笑)

2017年05月08日 [Default]
ゴールデンウィークが終わりました。
休み明けのお仕事は皆様はかどっておりますでしょうか。

さて、今日はこの「休日」と「過労死」の関係の話題をお伝えします。

過労死の認定基準はすでに何度も記載しておりますが、
〇2〜6ヶ月の月平均残業時間が80時間以上
〇1ヶ月の残業時間が100時間以上
となると、過労死認定される可能性が高まります。

先日のブログでは、この基準を下回るものの、「タイムカードに見えない勤務時間がある」ことを労働基準監督署が確認し、労災認定したことをお伝え致しました。いわゆる「推定過労死認定」です。

今回、過労死認定された方は弁当販売会社の配送業務を行っていた女性です。
亡くなる直前2〜6ヶ月の平均残業時間は約77時間。
亡くなる直前1ヶ月の残業時間は70時間11分でした。
先に述べた過労死認定基準を下回っております。

ではなぜ女性が過労死認定されたのか?
答えは、最初の方に述べた「休日」です。

女性は死亡前の半年で「休日」が4日しかなかったとのことです。
1ヶ月に1日取れるか取れないかの状況です。
更に連続で91日間「休日」無しで勤務していたこともタイムカードで分かっております。
3ヶ月間休みなしです!
フルタイムであることは言うまでもありません。

休みなし

確かに労使で「時間外労働・休日労働に関する協定届」。いわゆる36協定届を労働基準監督署に届け出すれば法定休日でも働かせることができます。弁当販売会社も協定を結んでおり、休日についてもほぼ「上限なし」で設定されておりました。

こんな働き方をしていたら、どんなに好きな仕事でも、どんなにやりがいがある仕事でも・・・耐えられませんよね。心身が疲れてしまいます。
いくら36協定で「上限なし」で設定してあっても、あくまでも「臨時の場合」や「特別な繁忙期」以外は極力休みを取らせるのは企業の善管注意義務だと思います。
会社の圧力で勤務することになったのか?自主的に勤務していたのか?不明ですが、いずれにしてももっと早く何とかできなかったのかと思われてなりません。

ということで、「過労死認定基準」の時間は下回るものの、それに準ずる「過度な勤務体制」に待ったをかけたわけです。
今後は「残業時間の上限さえ守っていれば大丈夫」というのは通用しなくなってくると思われます。

国の働き方改革会議で、過労死認定基準ギリギリの罰則付き残業時間上限規制が決まろうとしております。
しかし、一方で「休日労働は規制されていない」のが実情です。
もちろん一方的に休日労働させてはいけない!なんて法律ができたら経営が成り立たなくなってしまいます。
しかし、最低週1日、月4日は休めるようにした方が私は良いと思います。
特別な繁忙期はともかく、やはり一定の休みがあって、そこである程度体を休めてリフレッシュしてもらう方が、従業員もやる気が出るし効率も上がると思うのです。
ギリギリの状態で労働者を働かせるのははっきり言って何のメリットもなく、「リスク」しかないと私は考えます。

過重労働を強いていないか今一度点検してみることを強くお勧め致します。


2017年05月02日 [Default]
大手広告会社の過労死事件に始まり最近違法残業が話題になっています。

最たるものが、宅配大手の過去2年さかのぼっての違法残業調査は大きな話題となりました。
数百億円の未払い残業代を支払う内容です。
ブログでも紹介しましたが、結果的にこの会社は良い方向に向かうと私は個人的に思っております。

大手電力会社でも同様の未払い残業代の問題がありました。

そして今回、有名ミュージシャンも多数在籍する大手音楽会社が違法残業の調査に乗り出しました。

上記3社に共通するのは、「労働基準監督署による是正勧告」がきっかけということです。
ようは、それまでは違法残業があるのを知らなかったのか、黙認していたのか、積極的にやらせていたのかは分かりませんが、従業員が声を上げて、労働基準監督署の調査があって、結果このようになっているのです。

この大手音楽会社の場合、2年分遡るのではなく、あくまでも労働基準監督署の是正があった期間に対しての分を調査して、未払い分があれば支給するとしています。
早速、従業員からは「何でうちは2年遡らないんだ・・・?」と不満が出ているようですが・・・。

こちらの社長さんは労働基準監督署の是正勧告に対して「時代に合わない労基法なんて早く改正してほしい」とブログに掲載したことでも話題になりました。
少し・・・気持ち・・・分かります・・・正直・・・。
この音楽会社はともかく、労基法通りに当てはめられない業種が数多く出てきているのは間違いありません。

そんなことはともかく、ブログに愚痴ったにもかかわらず、調査に乗り出したことは評価すべきところでしょう。
やはり、大手企業になると「社会的信用」「知名度」「評判」等が大きくのしかかってきます。
放っておくと更なるリスクが待ち受けている可能性の方が大きいと判断したのでしょう。
所属する有名ミュージシャンにも影響する可能性もありますしね。

ミュージシャン

今まではパソコンのオン・オフの記録を基に労働時間を把握してきたようです。
今後は、従業員自らがパソコンやスマフォで勤務時間を打ち込んで報告するようにするとのこと。
ただ、このやり方でも「残業時間を減らして打ち込め」なんてことが起きないように注意が必要です。

というわけで、個人的には大手企業も「ほとんど」が問題を抱えているのに表面化していない!だけだと思います。
今の時代、従業員は何かあれば労働基準監督署にすぐに相談に行きます。
もしかしたら労働組合に行くかもしれません。
中小企業も同様ですが、少しでも違法残業等をさせている認識を経営者が持っているのであれば、まずは早めにどのように違法残業を減らすか?そして健全な方向にもっていくか早急に考えなければなりません。

いつ自社に労働基準監督署の調査が来るかわかりません。
リスク回避策は早めに練りましょう!!

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