2017年06月05日 - ビジネスブログ

オールウィン社会保険労務士事務所
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2017年06月05日 [Default]
昨年、某病院勤務の研修医の女性が自殺しました。
長時間労働が原因のうつ病を発症していたとのことです。

病院の労務管理上は、女性の自己申告に基づいて1ヶ月平均約48時間と把握していました。
これが正当なら労災認定は難しい状況です。
しかし、遺族が労災認定を求め調査したところ、なんと時間外労働は4カ月連続で200時間を超過!
最も多い月では251時間だったとのことです。

研修医

尋常な数字ではありませんね。
仮に1ヶ月22日勤務とした場合に251時間というと、1日8時間勤務+残業11時間30分で19時間30分・・・。
寝ている時間もありません!!
200時間だとしても毎日9時間の残業になります。

こんな働き方をしていたら誰でも潰れるでしょう・・・。
なぜ病院側は自己申告を信じただけで、放置していたのでしょうか・・・。
さすがにこの件については、労務管理の疎かさを感じざるを得ません。

遺族は「病院による殺人」とコメントしているようです。
そして、「医師不足は何の理由にもならない」と・・・。

もっともです。
自分の身内がこんな働き方をさせられた挙句の果てに自殺したともなれば黙っていられないでしょう。

それにしても何でこんなに長時間労働になっていたのでしょうか?
当直勤務・・・救急対応・・・医師不足・・・
大変なことは重々わかりますが、通常はここまでの労働時間にはならないと思われます。
早急な現状把握と今後の対策が必要でしょう。

ただ、病院全てがこのような問題を抱えているわけではありません。
私のお客様にも病院経営のお客様が何件かいらっしゃいます。
給与計算もかねて労働時間を把握しておりますが全然問題はございません。

おそらく大病院に限られるのかな?と感じます。

他の病院も是正勧告を受けている状態のようです。
それを受けて病院側も対応しております。
〇 外来診療科の絞り込み
〇 土曜日の一部休診
〇 病院閉院後の早期帰宅促進
〇 人員増加

確かに上記のようなことを実施していけば労働時間は減りそうです。
一方で、病院を頼りにしている、いやいざとういう時に今までと違うと救急患者などは行き場を失ってしまいます。

病院の労務管理は非常に難しいのです。
政府が計画している罰則付きの時間外労働規制方針でも基本的に病院は5年間の猶予期間が与えられています。
正直、病院経営者だけで対策するのには限度があると感じざるを得ません。
病院としても無理して患者さんのために動いている部分もあると思います。

やはり、病院を始め、業界ごとに現状把握の上対策を国単位で練っていく必要があるのではないでしょうか。
単純に残業規制と叫んでいるだけでは何も改善しないでしょう・・・。


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