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オールウィン社会保険労務士事務所
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2017年05月26日 [Default]
大手引越会社で働いていた元従業員が、不当な異動を命じられたうえ懲戒解雇にされたことを不服として訴訟を起こし、結果和解となりました。

「異動」とは、この件では配置転換です。
配置転換とは、今まで行っていた業務とは別の業務を行う部署に異動させることです。

会社としては、異動の命令を出すのは全く問題ありません。
しかし、まずは就業規則等の明確なルールがあることが必要です。
その上でルールに則って業務命令を行うことになります。
基本的には、従業員は拒否はできません。

さて、今回訴訟を起こした従業員は営業職でした。
そして、配置転換を命じられた職はというと・・・

「シュレッダー係」

シュレッダー係

え〜〜〜!!!!

誰が聞いてもおかしいですよね。
シュレッダーって言ったら、書類を裁断する機械です。
その機械にひたすら書類を入れるだけの職務??
アルバイトでもそんなことを専門にやってる人はいないと思いますし、そもそも必要性を感じませんよね。
自分でシュレッダーに書類を持っていくか、上司が部下にたまにお願いするか・・・。
ひどすぎます・・・。

更に、賃金も約4割削減!
30万円もらってたら18万円ですよ!

これは明らかに陰険な仕打ちだと誰しもが思うでしょう。

やはりその後、会社は従業員に懲戒解雇を通告したそうです。
しかも、解雇理由を「罪状」などと記した従業員の顔写真付きの文書を社内に掲示したそうです・・・。

異動を命じられる前に当然何らかの会社と元従業員の争いがあったものと推測はされます。
それにしても、こんな「完全犯罪」的なやり方の他に思いつかないものでしょうか?
大手企業なのに顧問社会保険労務士とかいないのでしょうか??
私がもしそんなことをやると会社が言い出したら全力で止めます(笑)
やるなら今までの経緯をよく聞いたうえで「段階を踏んで行いましょう」と・・・。

配置転換が合法的かどうかは以下の基準を参考にされるとよいでしょう。
@ 当該人員配置を行う業務上の必要性があるか
A 人員選択は合理的か
B 配転命令が不当な動機でなされていないか
C 配転が従業員に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を与えるものではないか

この基準から考えれば、明らかに基準を逸脱しているのがお分かりだと思います。
会社の命令なら何が何でも許されるわけではないのです。

結果、会社はこの異動について「社会的相当性を欠いた」と認め、従業員を元の職場に戻し、謝罪し、解決金を支払うことで和解に至りました。

今回の「配置転換」の他、「転勤」、「出向」、「転籍」なども同様の考えが適用されます。
人事異動を行う際にはくれぐれも注意の上行うようにしてくださいね。

2017年05月17日 [Default]
最近、毎日のように労務問題に関する情報が入ってきます・・・。

東京都にある大手タクシー会社の未払い賃金請求訴訟の判決が出ました。

タクシー

タクシー会社と言えば、昼夜を問わず動いておりますので労務管理は大変だと思います。
お客様に直接的にかかわる商売ですから、従業員の健康管理等も重要ですね。

今回の訴訟は、「元」運転手12人が未払い賃金等約7千万円を求めました。
「元」・・・怖いですね。
私が関わる労使問題も大体が「元」従業員、ようは退職してからの訴えによるものです。
少しでも不信感をもって退職されると後が怖いです・・・。

さて、どういうことで未払い賃金が発生したかというと、以下のような事実があったそうです。

1・入社後の教習期間の賃金が労働基準法で定めた賃金を下回っていた。
2・教習終了後の時間外手当算出について、「車庫に戻ってから30分後が退勤時刻」としている。

1については言うまでもないですね。
最低賃金ではないのかもしれませんが、基準を下回っていたのでしょう。
これは反論の余地なしですね。

2については、会社側の強引な印象を受けますね。
ようは30分で残務処理が終わるのか終わらないのかという話ですが、会社側は終わるとの主張です。
実際何しているかというと、車庫に戻れば「洗車」、「日報記入」・・・。
30分では終わりそうもありません。

ということで会社に計2100万円の支払いを命じました。

額は少なくなりましたが、それでも大きな金額ですし、予期せぬ出費でダメージは避けられません。

会社としては、こちらの訴訟が片付いても、もう一つ考えなければならないことがあると思います。
それは、「既存の社員にどう説明するか」ということです。
退職者が申し立てた内容はおそらく現在在籍している社員にも適用、あるいは適用していたということだと思われます。

このように、退職者でも在職者でもどちらでも構いませんが、例え1人が訴えて、その1人が勝訴したとなれば全社に損害が及ぶことになる可能性が高いのです。
このことも経営者の皆様は頭に入れておかなければいけません。

今回の事例は、入社数カ月のことと思われます。
そして、退職後にその入社数カ月のことを訴えられる。
「入社」と「退職」がキーワードですね。
この時期に適当な扱いをしていると大きなしっぺ返しが来るかもしれません。

何度も何度も繰り返しになりますが、こういった事例を見て、自社に置き換えて「リスク管理」を進めましょう!


2017年05月15日 [Default]
厚生労働省が先日、労働関係法令違反で書類送検された企業の社名を厚生労働省ホームページに公表しました。
全国の労働局が公表した内容をまとめて一括しての掲載です。

当然誰でも閲覧可能です。

社名・所在地・公表日・違反法条・事案概要・その他参考事項(送検日)が掲載されています。
大々的に問題になっている大手広告企業を始め、労働基準法違反や最低賃金法違反が多いです。
ただ一番目についたのは労働安全衛生法違反でしょうか。
労働安全衛生法は、作業内容や作業方法、安全対策、危険な薬品への対応などを厳しく定めています。
それこそ、一歩間違えれば死と隣り合わせの作業を行わせる企業にしっかりした対応を求めています。
これは当然法律に則って行わないとリスクが大きすぎます。
過労死も大問題ですが、労災事故死も大問題です。

安全衛生法

経営者の皆様には是非この公表内容を見ていただきたいと思います。
企業名はどうでもいいです。
大切なのは「事案概要」です。
簡略化されていますが、こういうことをしたから違反で送検に至ったという経緯が記載されています。

是非とも自社で同様のリスクはないかを再点検していただきたいのです。
特に「建設業」や「製造業」の経営者の皆様は是非チェックしてほしいと思います。
先ほど述べた労働安全衛生法関連の事案がかなり掲載されております。

他にもどこの企業も気を付けなければいけない事例は未払い賃金等の他に下記のような事例がありました。
・36協定未届出での残業・休日労働の実施
・労災休業4日以上での私傷病報告未提出
・労働基準監督署調査時に虚偽の書類提示
・外国人技能実習生への対応
・解雇予告手当を支払わずに解雇

公表されている事案に違反していれば直ちに書類送検!とはなかなかならないと思います。
大方、違反の内容、是正勧告後の対応が悪く、悪質な場合にこうなった事例が多いのではないでしょうか。
しかし、一発で書類送検にはならない!という保証はありません。

企業名が公表されれば企業にとっては致命的だと思います。
取引先からの不信感・・・
従業員の会社への不信感・・・
従業員の新規採用が困難になる・・・

他にも当然未払い賃金の支払いや、労災事故があればその慰謝料、裁判になれば・・・。
大変です!!

一度この330企業・事業場の事例を参照いただき、自社に当てはめてリスク管理することを強くお勧め致します。

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