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オールウィン社会保険労務士事務所
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2017年05月12日 [Default]
企業だけではなく官公庁や市区町村役場でも残業問題はあります。
学校の先生なんかも大変ですよね。

今回は、横須賀市の残業削減取り組み事例を紹介致します。

ずばり「帰るまで見守り」方!
そうです、各課の課長が部下が全員帰るまで残り、残業の状況を確認するという方法です。

皆様はどう思いますか?
私個人的には??です。
私の理想は、上司が率先して「効率的に仕事をこなし早く帰社する」、「それを見て部下も同様に効率化を目指し早く帰社する」・・・この流れを作ることです。

この方法では、まず課長が残業することが確定です。課長も職員です・・・。
次に、課長が部下にプレッシャーを与えることにならないかです。
「お前らが終わらないと俺は帰れないんだからさっさと仕事終わらせろ〜!!」なんてことになれば部下の仕事も中途半端に・・・。
職場の風通しも悪くなってしまう可能性もあります・・・。

帰るまで見守り月間

しかし、残業が多いのであれば何かしらの策を講じなければなりません。
その点横須賀市はこの方法を、あくまでもひと月に限って「見守り月間」として実施しました。
お試しとしてはやってみる価値はありますよね。
何もしないのが一番ダメですから。

結果はというと、
前年比で2割弱残業時間トータルが減ったとのことです。
一人当たりで月約2時間減った計算になります。
単純比較は業務の繁忙等もあり難しいですが一応結果は出たのです。

さらに、「見守り月間」が終わった後も5か月間連続で前年比で残業が減ったそうです。
課長さん頑張ってるんですかね(苦笑)。

結果はどうあれ、やはりまず第一歩として策を講じ、実施したことに意義があると思います。
実施したことによって職員たちは自分たちの残業時間を気にしてくれていると感じるのは間違いありません。
そこからコストパフォーマンスを上げる意識づけができれば大きな一歩でしょう。
あとは、課長等上長の残業時間をどうするかです。

今ほど過重労働が問題になっているときはありません。
官民挙げてより良い残業削減方法を提案しあっていくことが必要でしょう。
業種によっても方法は全く変わってきます。
業種単位での意見交換や情報交換も有意義でしょう。

我々社会保険労務士は様々な業種のお客様と接して諸問題に取り組んでおります。
良い取り組み事例があれば、業種問わず他のお客様にも効果があるか情報提供するだけでも大切なことだと思います。
もちろん、積極的に我々が「こうしたらいかがでしょう」という発信もしていかなければいけません。
お客様の労務管理リスク削減の一助となれるようにこれからも邁進しなければと思っております。


2017年05月10日 [Default]
社会保険労務士の皆様は既に耳にしているのではないかと思います。

政府の規制改革推進会議において、労働基準監督官の業務の一部を社会保険労務士に委託するように求める提言が出ております。

なぜこのような動きになっているかと申しますと、
現在労働時間等の問題が多発しておりますが、そうしたことを調査や是正すべく動く労働基準監督官の絶対数が少ないことにあります。
ようは、本当はもっと多くの企業の労働実態を調査しなければいけないのにできていないわけです。
できないうちにいろいろな問題がどんどん浮き彫りになってくる・・・という状況なのです。

では社会保険労務士が何をやるのか?
提言では、「時間外労働・休日労働に関する協定届」(36協定届)を届け出ていない事業所を対象に、社会保険労務士が残業の有無などを調べ、問題がある場合には強制捜査権を持っている監督官に引き継ぐ・・・という内容です。
厚生労働省も受け入れる方針だとか。
嫌われ役ですね・・・(苦笑)

確かに労働基準監督官の業務を補佐できる民間の団体だったら、やはり社会保険労務士が妥当ですね。
36協定を届け出ていない企業や、存在自体知らない経営者も全国には山ほどあります。
手分けして調査すれば少しは監督官の負担も減るし、未然に労働問題を防ぐこともできるかもしれません。
でも嫌われますね・・・(苦笑)

さて、私が気になっているのは、「社会保険労務士に」と言ってもどういう基準でどの社会保険労務士に委託するのでしょうか?ということです。
多くの顧問先を持っている社会保険労務士は実質そのような業務を行う時間は無いと思います。
そうなると比較的時間のある社会保険労務士に・・・。
これは大きなリスクをはらんでいると思います。
社会保険労務士といってもいろいろです。
実務経験が無くても社会保険労務士として仕事ができてしまうのです。
経験の浅い社会保険労務士に委託した結果、逆に間違いがあって企業にも監督官にも迷惑をかけてしまったら社会保険労務士への信頼が失墜してしまいます。
この委託する社会保険労務士の選別基準は厳格に決めた方が良いと個人的に思っております。

例えば、年金相談に従事する社会保険労務士も、定められた講習などを受けて選ばれた方だと思います。
社会保険労務士とは別に、個別労使紛争に携わることができる「特定社会保険労務士」なんていうのもあります。
こちらはものすごい時間の講習を受けたのちに、試験を受けて合格するとなることができます。
ようは、その道(今回でいうと労働実態調査全般かと思いますが)の知識が無いとまずいでしょう。

私はというと、
今は顧問先のお客様の業務を日々行っており余分な時間はありません。
多少余分な時間があったとしても、片手間でできる仕事ではないので難しいでしょう。
年金相談員の社会保険労務士も片手間ではなく、そちらが本業でやっているでしょうし。
「特定社会保険労務士」も少しは考えましたが、何しろ講習を受けている時間が無い・・・。
無理して時間を作って「特定付記」になったとしても、現状ではニーズはあまり無い・・・。
そんなわけで、少しずつ顧問のお客様を増やしながら日々頑張っていく方が性に合っています。

社労士

こんな話をしていながら、国で決定した際にはもしかしたら企業に調査訪問することになるかもしれません・・・。
もしかしたらこのブログを見ていただいている経営者の皆様の会社にも・・・。
その時はお手柔らかにお願い致します(笑)

2017年05月08日 [Default]
ゴールデンウィークが終わりました。
休み明けのお仕事は皆様はかどっておりますでしょうか。

さて、今日はこの「休日」と「過労死」の関係の話題をお伝えします。

過労死の認定基準はすでに何度も記載しておりますが、
〇2〜6ヶ月の月平均残業時間が80時間以上
〇1ヶ月の残業時間が100時間以上
となると、過労死認定される可能性が高まります。

先日のブログでは、この基準を下回るものの、「タイムカードに見えない勤務時間がある」ことを労働基準監督署が確認し、労災認定したことをお伝え致しました。いわゆる「推定過労死認定」です。

今回、過労死認定された方は弁当販売会社の配送業務を行っていた女性です。
亡くなる直前2〜6ヶ月の平均残業時間は約77時間。
亡くなる直前1ヶ月の残業時間は70時間11分でした。
先に述べた過労死認定基準を下回っております。

ではなぜ女性が過労死認定されたのか?
答えは、最初の方に述べた「休日」です。

女性は死亡前の半年で「休日」が4日しかなかったとのことです。
1ヶ月に1日取れるか取れないかの状況です。
更に連続で91日間「休日」無しで勤務していたこともタイムカードで分かっております。
3ヶ月間休みなしです!
フルタイムであることは言うまでもありません。

休みなし

確かに労使で「時間外労働・休日労働に関する協定届」。いわゆる36協定届を労働基準監督署に届け出すれば法定休日でも働かせることができます。弁当販売会社も協定を結んでおり、休日についてもほぼ「上限なし」で設定されておりました。

こんな働き方をしていたら、どんなに好きな仕事でも、どんなにやりがいがある仕事でも・・・耐えられませんよね。心身が疲れてしまいます。
いくら36協定で「上限なし」で設定してあっても、あくまでも「臨時の場合」や「特別な繁忙期」以外は極力休みを取らせるのは企業の善管注意義務だと思います。
会社の圧力で勤務することになったのか?自主的に勤務していたのか?不明ですが、いずれにしてももっと早く何とかできなかったのかと思われてなりません。

ということで、「過労死認定基準」の時間は下回るものの、それに準ずる「過度な勤務体制」に待ったをかけたわけです。
今後は「残業時間の上限さえ守っていれば大丈夫」というのは通用しなくなってくると思われます。

国の働き方改革会議で、過労死認定基準ギリギリの罰則付き残業時間上限規制が決まろうとしております。
しかし、一方で「休日労働は規制されていない」のが実情です。
もちろん一方的に休日労働させてはいけない!なんて法律ができたら経営が成り立たなくなってしまいます。
しかし、最低週1日、月4日は休めるようにした方が私は良いと思います。
特別な繁忙期はともかく、やはり一定の休みがあって、そこである程度体を休めてリフレッシュしてもらう方が、従業員もやる気が出るし効率も上がると思うのです。
ギリギリの状態で労働者を働かせるのははっきり言って何のメリットもなく、「リスク」しかないと私は考えます。

過重労働を強いていないか今一度点検してみることを強くお勧め致します。


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