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オールウィン社会保険労務士事務所
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2017年06月23日 [Default]
6月・・・賞与の時期ですね!!
会社員の皆様にとっては待ちに待った!って感じでしょうね。
もう支給されている方もいらっしゃるでしょうし、これからの方もいらっしゃるでしょう。
もちろん賞与自体無い・・・という方もいらっしゃるでしょう。
私もちょっと前までは微々たる賞与でしたが支給された時はうれしかったものです。

賞与

さて、賞与は払われたけど、今までより大幅に減額された!!
こんな訴えがあり、訴訟の結果減額分の支払いが命じられた訴訟がありました。

そもそも賞与の減額は違法なのでしょうか?

一番重要なのは、就業規則や賃金規程の賞与の支給要件でしょう。
算定基準や支給額計算方法等が記載されていれば基本的にはその方法に沿って支給する義務があります。

逆に賞与の規定が無ければ支給義務は発生しません。
ただし、規定に無いのに毎年支給していると、それが慣行として認められ、いざ賞与無しとしたときに問題になる場合があるので注意が必要です。

今回訴訟を起こした方は、「前年比で賞与額が93%減の2万5千円しか支給されなかった!!」
ということで訴訟に踏み切りました。
逆算すると、35万円ぐらいもらえると思っていたのに・・・ということでしょうか。

確かに従業員からするとこの差額は大きいですよね。
ガックリきてしまいます・・・。
理由は聞かせてもらいたい!と思うのは普通だと思います。

一方の会社はというと、賞与は人事評価制度を採用し、年2回の評価点によって賞与額を決定していました。
ということは、評価が良ければ基準賞与額よりも多くもらえるし、評価が低ければその逆。
これ自体は制度化されていれば何ら問題ありません。
「この女性は本当に本当にダメなんだ!本来なら賞与0円のところ出してあげただけありがたいと思え!!」
なんて社長や上司の声が聞こえてきそうな気がします・・・(苦笑)

今回の大幅減額もこの人事評価が基準になったのは勿論です。
今までのこの女性の評価はというと、18点〜マイナス8点(何点満点かは不明です)。
今回は〜、マイナス175点!!
これで賞与が出るのもすごい・・・。
何をしたらこんなになってしまうんでしょう??

会社側の主張は、「個人情報が記されたアンケートを裁断せずに処理した」ことなど57件の問題行為があったためだと。

結論としては「この年だけ突出して問題行為を挙げ、大幅減点したのは恣意的で不合理だ」と会社の主張を退けました。
減額分の支給と慰謝料の支払いも命じました。

難しいですよね。
本当に経営者にとっては難しい問題だと思います。
賞与なんて出るだけありがたいと思えという経営者の方は多いと思います。
実際、規定している以上はあまり仕事のできない人や評価の低い社員にも支払わなければいけません。

やはり最初が肝心です。
就業規則や賃金規程での賞与の扱い。
雇用契約書での賞与の規定。
今までの慣行。

そのうえで、賞与の性格も理解しておきましょう。
@ 査定期間中の功労報酬
A 生活補填
B 将来のモチベーション向上

いざ例年より減額して賞与を支給しなければならない場合は「合理性」を考えて行いましょう。
しっかりとした理由があれば一定の減額は認められます。
支給してから文句言われるより、文句を言われない支給方法を考えていきましょう!

2017年06月16日 [Default]
旅行大手企業が違法残業容疑で書類送検されました。
送検されたのは法人と労務管理を担当する幹部社員2人です。

誰もが知っている大手企業と言っていいでしょう。
日本全国に営業所があります。
日本だけではなく海外にまで進出している企業です。

そんな大手企業だから労務管理もしっかり行っているんだろう?

いやいや、最近は大手と言われる企業がどんどんボロが出てきます・・・。

この会社、「全国の労働局」から2010年どから「5年間で十数回」も違法残業で是正勧告を受けていました。
十数回ですから、最低でも1年に2回はどこかの営業所が是正勧告を受けていた・・・ということになります。
すごいですね〜!!

普通の感覚ですと、1回でも是正勧告を受ければ「まずい!!」となりますよね?
そして、是正報告書を提出して、次に何か言われても大丈夫な体制をとると思います。

しかしこの会社は違いますね。
大手企業でしたら、普通は1回でもどこかの営業所で是正勧告を受けたら、全社で共有し、トップダウンで改革を実施するのが当たり前だと思います。
ところが、なんと十数回の是正勧告をほとんど「無視」して改善しなかったのです!
さすが大手企業となると、こういったところでも対応が違いますね!
「ある意味すごい」と感心してしまいます(苦笑)

まあ、結局のところは、「改善が見られない」と判断されて書類送検されてしまったわけですが・・・。
大手なりの甘さなのですかね・・・。

書類送検

ちなみにこの企業は労使で時間外労働の上限を「月78時間」に設定していました。
微妙な時間ですね〜。
過労死ラインの一歩手前ですね〜。
一応はそれ以上はやらないように・・・とは考えていたのでしょうかね〜。

しかし、結果として上限をはるかに超える時間外労働をさせておりました。

これで「過労死」なんてことになったらどうなるか考えているのでしょうか・・・?
いや、うちの会社は大丈夫!という根拠のない考えがあったのだと思います。
労働局の担当もそういった「企業風土」を指摘しています。

当事務所のお客様でも中小企業ですが長時間労働になりがちな企業はあります。
それでも、リスクを考えて少しでも改善していこうと一緒に考えております。

時代の変化についていかないと大変なことになります。
「リスク管理」が今ほど大事な時はないのではないでしょうか。

2017年06月14日 [Default]
「年俸制なら残業代は含まれているから支払う必要はない」・・・

これはダメですね。

もし残業代も含むなら、基本的には年俸に含まれる残業時間と残業代を明記しておかなければいけません。
疎かになりがちですし、そもそも雇用契約書が無ければ大問題になりますのでご注意ください。

さて、高額な年俸で契約している医師にも残業代を支払うべきかという訴訟が最高裁でありました。

高額な年俸とは・・・
実に年俸1700万円!
とても良い給料ですね・・・羨ましい・・・。

病院と医師は雇用契約書を結んでおりました。
そして、病院の規定に基づき、「午後9時以降か休日の必要不可欠な業務」に対しては別途残業代は支払われておりました。

いい条件じゃないか〜、と思ってしまいますが、この医師は違います。

「1日8時間を超えた部分から午後9時までの残業代を払え」と提訴したのです。

医師残業請求

実際の残業時間はよくわかりませんが、一応理屈は通っております。
医師という職業上、とても大変な仕事ですから一般的にも給料は高いですし、残業を毎日ではなくても9時までやることがしばしばあったり、休日労働がかなりあったというのであればなおさら言いたいことは分かります。

しかし・・・医師という職制は置いといて、こういう要求をすべて鵜呑みにしていたら経営側はたまったものではありません。
雇用契約書に不備があったのは確かです。
しかし、雇用契約をする場で9時までの残業に対しての手当は年俸に含まれているのか確認はできたはずです。
私は双方に問題があると思います。

多くの企業で年俸制を採用して、実際に残業代のことを記載しているのはどれだけあるでしょうか?
おそらく年俸にすれば必然的に残業代は含まれていると認識している経営者の方は数多くいらっしゃると思います。
そして、残業も含めて年俸〇千万円と提示する。
契約の際には労働者側も残業代が含まれているか確認しない・・・。
退職してから未払い残業請求を起こす・・・。

こんなことが毎日のようにありますし、当事務所のお客様でもお困りの経営者様がおられるのが事実です。
労働基準監督署や裁判所も労働者側に立つことがほとんどで経営者(とりわけ中小企業経営者)の目線に立つことはほとんどありません。あくまでも「法律上」「就業規則上」「規程上」に基づいて判断という実情です。

確かに労働者を保護するのは大切です。企業にとっても労働者は「人財」ですから言うまでもありません。
しかし、退職前や退職した後に「あらさがし」をして労働基準監督署や裁判に訴える人を保護するのはいかがなものでしょうか?
世間では「ブラック企業」が話題になっております。
しかし、私個人的には同時に「モンスター社員」が数多く存在することも非常に大問題だと思っております。
本当に経営者の皆様はこの数多く存在する「モンスター社員」に大変な思いをしているのです。

話が少し逸れてしまいましたが、一審の地裁、二審の高裁ともに「時間外手当は年俸に含まれていた」と判断しました。

この訴訟の判決は7月7日にあります。

私個人的には、法律や規則に則るのは当たり前で重要なことは分かりますが、訴訟等になった場合はあくまでも一般的な目線で常識的な判断をしていただきたいと強く思っております。

同時に労働者を守るのは良いことですが、こういう問題が多発している今の世の中を勘案して、国には中小企業経営者の労務管理実態もよく把握していただき、必要があれば国の政策として中小企業経営者の労務管理の指針を作成してもらえれば経営者も労務管理をやりやすいのではないでしょうか。
労使双方が納得して会社を盛り立てていくには、そういうことも必要なのではないかと考えてしまいます。

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