2017年08月30日 - ビジネスブログ

オールウィン社会保険労務士事務所
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2017年08月30日 [Default]
最近、長時間労働問題やそれに伴う労災、自殺等の話題が後を絶ちません。

対して、国は「働き方改革」を最重点課題として政策を進めております。
しかし、政策を出しても実現可能性や、有効性に疑問符が付きまとっているのが正直なところです。

特に、「働き方改革」の中の残業時間の罰則付き上限規制については、建設業等の一定の業種は5年間猶予となっています。
何故、猶予されるのかといえば、そうそう簡単に残業時間の削減ができないと分かっているからです。
要は、最初から諦めムードだったのです・・・。

確かに、猶予を設けている建設業の他、運送業や飲食業、病院等は特に労務管理が難しく、残業削減は容易ではありません。
このことは、我々社会保険労務士も十分わかっております。

建設業界

しかし、猶予期間の間に、建設業や運送業、病院等で長時間労働による過労自殺等が起きているのが実態です。
私もブログで何度も記載しておりました。
現場任せにしておかないで、国や業界が本腰を入れて取り組まないと「働き方改革」なんて名ばかりで、何の改善にもならない!と・・・。

そんな中、国が建設業界に一矢入れる指針を出しました。
出した指針は関係つに記載すると下記のような感じです。
@ 作業員が「週休2日」を確保できる工期にすること
A 資材や労働力を調達したり、天候で作業ができなくなる場合も考慮して工期を定めること
B 予定していた期間内に工事を終えるのが難しい場合は、工期を変えること
C 受注者は、下請けに工事を委託する際にも同様に工期を配慮すること

簡単ですがいかがですか?
私見ですが、率直に申し上げて「なんじゃこりゃ?」というところです。
しかも、この指針は努力目標です。
違反しても罰則はありません。
罰則無しのこんな指針を、元請も下請も守るとは到底思えません。
下請などは尚更で、元請がやると言えばやらざるを得ないのですから守るどころの話ではありません・・・。

ただでさえ全産業で人手不足が深刻化しております。
建設業界の高齢化も進んでおります。
加えて20年の東京オリンピック・パラリンピックの会場建設等もあります。
各省庁が発注する公共工事も増えております。

国が旗を振らなければいけないことは、間違いないと思います。
しかし、やはりもう少し現場を見て、実効性のある指針を出してほしい・・・。
「こうなったらいいな〜」なんて指針では一生改善しないでしょう。

少し話は変わりますが、ある大手建設機械製造会社が、ITを駆使したすごい機材を開発して、既に稼働しているという報道を見ました。
うろ覚えですが、ドローンを使って、測量等は人が行うより極端に早く正確に行え、掘削等も画面上に映し出されるとおりに操作すれば建設機械の初心者でも普通に作業ができてしまうということでした。

建設作業機械

この企業の社長さんも、当然こうした技術を広げていくつもりのようです。
ただ高い・・・。
中小企業にとっては大きな負担になる金額です。
例えば、こうした機材を国が何らかの形で建設業界に提供して使用するなどしたらどうでしょう?
人手不足を補え、作業時間短縮です。
IOTに仕事を奪われるなんて言っているより、間違いないと思いますが。

なお、運送業に対しても長時間労働に対する施策を示しました。
@ IT化による配達先での待機時間の削減
A 宅配用車両の駐車規制の見直し
などです・・・。

教育業界の長時間労働問題にも是正に向けて動いています。

こうした国の姿勢は評価できます(もっと早くから出すべきですが)。
国の指針を、学者等の有識者ではなく、現場を知る業界の大手・中小企業の人たちが更に練って、更に我々社会保険労務士等の専門家を交えてより良い実効性のあるものにできていければと考えます。


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