2017年08月 - ビジネスブログ

オールウィン社会保険労務士事務所
就業規則作成 助成金申請なら
2017年08月10日 [Default]
また悲しいニュースが入ってきました。

大手製薬会社に入社した新入社員(当時22歳)が自殺で亡くなり労災認定を受けていたことが分かりました。

新入社員の方は2015年4月1日に同社に入社しました。
その後4月10日から4月12日まで外部研修会社による研修を受けた結果、精神疾患を患い自殺に追いやられました。
このほど亡くなった方の父親が大手製薬会社、外部研修会社及び講師を相手取り、約1億500万円の損害賠償を求める訴訟を起こしました。

4月1日に入社して、4月10日から12日まで3日間の研修を受け、5月18日に自殺・・・。
この短期間で一体何があったのでしょうか?

亡くなった新入社員の職種はMR(医療情報担当者)と呼ばれるものです。
製薬会社では必ずおり、なおかつ非常に重要な職種です。
簡単に仕事内容をご紹介すると、「医療機関を訪問し、自社の医療用医薬品を中心とした医療情報を医師や薬剤師等に提供し、医薬品の適正な使用と普及を図り、使用された自社製医薬品の有効性情報や安全性情報を現場から収集して自社に報告する」という感じでしょうか。
簡単に言えば自社の薬の営業ですね。
仕事内容は厳しく、給料は高めと言われております。
製薬会社の生命線といっても過言ではないですからね。
亡くなった方は、短期間で自殺に追い込まれてしまったので、おそらくこういった本来の業務も経験できなかったのではないでしょうか・・・。

さて、問題はなぜ自殺にまで至ったか?です。
労働基準監督署も労災認定にあたり、先に紹介した「外部研修会社による研修」を原因に挙げております。

大手企業は宿泊での外部研修をすることはいまだに多いようです。
私も新卒で入社した会社では遠方まで行って外部研修を受けた記憶があります。
新入社員向けの研修ですから、大方マナー研修が主たるものとなります。

今回問題となっている外部研修会社について少し調べてみました。
1・ほかの大手企業も外部委託している
2・マナー研修を始め、幹部研修など企業教育コンサルティングを行っている
3・体育会系な研修を行う

どうしても「3」が気になりますよね。
体育会系・・・受ける人にもよると思いますが直感的に私は嫌です・・・。
実際にこの研修を受けたことがある製薬会社の社員たちは今回の件での聞き取りで以下のような発言をしています。
「軍隊みたいな研修」「研修会場は異様な空間だった」
「いつもどこでも大声を出す必要がある」
「機敏な動きを要求される」
「講師は終始大きな声の命令口調できつい口調」「バカヤローといった発言もあった」
「もう受けたくない」
「途中で体調不良者が出ることがあった」

そんな体育会系の外部研修に3日間詰め込まれたらどうでしょう。
もともと体育会系の方はついていけるかもしれませんが、そうでない方はしんどいと思います。
「新入社員にはそのぐらいの気持ちでやらないとダメだ」という方もいるかもしれません。
しかし、いろいろな性格や考え方をもっている人が研修に来るわけですから一律にというのはどうでしょう。

私個人的には、自殺された方は非常に真面目な方で、もちろん体育会系ではない方だったと思います。

当時の研修の中身が少しわかっています。
亡くなった方に対しての研修会社の講師の言動です。
以下、紹介します。
1・同期の前で過去のいじめについて告白するよう強要
2・吃音(どもり)を指摘
3・「何バカなこと考えているの」という言葉
4・「いつまで天狗やっている」という言葉
5・「目を覚ませ」という言葉

アホ講師

今まで述べたことで大体想像がつきますね。
あくまで私見ですが、自殺の原因は「外部研修会社が、新入社員個人個人の性格を理解せず、一律に体育会系を過ぎる行き過ぎた研修を行い、更に個人的な性格を責め、意に沿わない告白を強要し、人格を否定するような言動を講師が行った」結果だと思います。

ちなみに外部研修会社は今回の件について「当社の研修に落ち度はない」と述べているそうです。
この点だけを見ても「ダメ会社」ということが分かります・・・。

こんなダメ会社に永年外部研修を委託した製薬会社にも当然責任があると思われます。
裁判の結果が出てからでないと確かなことは分かりませんが、いずれにしても短期間でこれから世に羽ばたく若い命を奪ったことは疑いようのない事実です。

外部研修を利用している経営者の皆様は多いと思います。
安易に外部に投げる前に、その委託する会社の評判や研修方法等をしっかり把握しておかないといけません。
同時に自社研修を行う場合も研修方法や研修内容について改めて見直ししてみることをお勧め致します。


2017年08月04日 [Default]
みなし残業制をご存知でしょうか?

みなし残業制とは、月の上限の残業時間を設定し、その時間まで実際に残業をしてもしなくても設定された時間分の残業代を固定的に支給する制度です。

この制度は最近定着してきてはいますが、世間的には「ブラック」的な見方をされております。

そもそも設定された時間を超えた場合は、別途超えた分の残業代を支給します。
何がブラックなのでしょうか?
例えば、月によって業務の繁閑がある企業で採用すれば、繁忙期は設定時間を超えた場合もその残業代は支給される。
逆に閑散期で定時で上がることができる月でも設定時間のみなし残業代が補償されるのです。

当事務所でも多くのお客様にこの制度をお勧めしております。
この制度の本当の意義は、従業員の時間に対する意識を考えてもらい、コストパフォーマンスを上げてもらうことです。
ダラダラ残業を無くし、効率的に仕事をする。
仕事にメリハリをつけワークライフバランスも実現できる。
チームで作業する場合は助け合って協調して働いてもらう。

こういったことを徹底できれば、会社としても余分な残業代を支払う必要もなくなります。
従業員にとっても金銭的にも、私生活上でもメリットがあります。
結果、会社の業績アップに寄与するものと考えます。

それなのになぜ批判的な目で見られることが多いのか?
一部の企業で単なる残業代削減のために用いられていることが大きいと思います。
例えば、1ヶ月の残業時間が毎月60時間ぐらいあるのにみなし残業の設定時間は45時間にし、超えた15時間分の残業代は支払わない。
設定時間に終わるはずもないのに無理やり導入し、会社は設定時間に終わらせろと圧力をかける。
あるいは、設定時間まで働かないと評価が下がるので結局は設定時間は確実に残業することになる・・・。

こうした企業が多く存在するためにあまりよく無い目で見られているのが事実です。

前置きが長くなりましたが、今回世界のトヨタがこの制度導入を労働組合に提案したのです。
画期的です!
もし、実現したのならば日本の多くの企業の主流となる可能性があります。
そして、みなし残業制が見直されるかもしれません。
非常に注目しています。

トヨタは、まずは係長級に絞ってこの制度を導入しようとしています。
全員ではなく、本人が希望し、会社が認めた社員が対象です。
上手くいけば、そのほかの社員にも対象を広げていくのではないでしょうか。

トヨタ改革

トヨタも古い企業ですから、少なからず「長時間労働=評価」という組織風土がもしかしたらあったのかもしれません。
それを制度導入によって「コストパフォーマンス=評価」にもっていきたいのではないでしょうか。

いずれにしても労使双方がみなし残業制の意義を理解し、正確に運用できれば間違いなく良い制度だと考えます。
これを機に、一部のみなし残業制を悪用している企業も本来の制度趣旨に戻っていけばよいと考えます。

国が考えている政策の実現より、トヨタをはじめとする企業が取り組む施策の方が確実ですからね(笑)

2017年08月01日 [Default]
名ばかり管理職・・・一時話題になりましたね。
M社が特に。

何故、名ばかりの管理職に会社がしたがるのかはご存知でしょうか。

労働基準法で一定の管理職等には時間外労働や休日労働手当を支払わなくてよいことになっているのです。

「それなら従業員みんな管理職にしてしまえ」なんて社長もいらっしゃいました(笑)
そうです!ここがポイントなのです。

管理職とは、どこまでが管理職と認められるのか?
正直申し上げて、争いになったときに裁判所が決定するので「これだ」というのは言えません。

しかしながら、だいたい以下のような要件を満たしていれば可能性はあります。
@ 勤怠や仕事内容などが自分で自由に決められる
A 経営者と一体の立場である
B 他の従業員と比べて管理職としての手当が「相当分」支払われている

他にも様々なケースを総合的に勘案して決定するのですがいかがでしょう?
こんな従業員いますか??
おそらく一握りの方しか認められないと考えます。
「お前は部長だから」「お前は店長だから」・・・ほぼ無理でしょう。
取締役だから認められるわけでもありません。

ということで、極めて危険なのでこんなことはしないことをお勧め致します。
訴えられたら大変です。
未払い残業代・・・。

前置きが長くなりましたが、このほど、ある警備会社がこの名ばかり管理職制度?を採用した挙句、労働基準監督署から是正勧告を受けました。
警備会社の管理職・・・どのような方だったのでしょう?
休日は月1日程度、10時間以上勤務する日がほとんど・・・。
挙句の果てに月給23万6千円の固定給しか支払っていなかったとのこと。

議論の余地もありません。
管理職以前に、一般職員で更に一歩間違えば過労死認定ラインで働かせていそうです。
給料も管理職とは程遠いですよね。

名ばかり管理職

この「名ばかり管理職」の方が社外の労働組合を頼って労働基準監督署に申し立てて発覚しました。
当然2年分の未払い残業代支払い命令が出るでしょう。

このように、まだまだ制度を悪用したり、無知で行っていたりという会社があるのです。

経営者の皆様、心当たりがあればすぐに改善しないと大変なリスクになりますよ!
今一度自社の労務管理を見直してみることをお勧め致します。



このページの先頭に戻る