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従業員を「海外派遣」する場合は特別加入を!
2016年05月02日 [Default]
通常、自社の従業員を「海外派遣」する場合は、労災保険の特別加入の手続きを行わなければなりません。
この手続きを怠っていると、海外派遣した従業員が派遣先で労災に遭ったときに給付が受けられない可能性があります。

海外派遣の特別加入者の範囲は以下のいずれかに該当する人です。
@日本国内から、海外で行われる事業に労働者として派遣される人
  ※日本国内の事業主とは、日本国内で労災保険の保険関係が成立している事業(有期事業を除く)の事業主
  ※海外で行われる事業とは、海外支店、工場、現地法人、海外の提携先企業など

A日本国内の事業主から、海外にある中小規模(日本の中小企業に当たる規模)に事業主等(労働者ではない立場)として派遣される人

B独立行政法人国際協力機構など開発途上地域に対する技術協力の実施の事業(有期事業を除く)を行う団体から派遣されて、開発途上地域で行われている事業に従事する人

上記のような従業員を海外派遣させる場合は、所定の用紙記載の上、労働基準監督署(労働局)にて手続きが必要です。

先日、運送会社の社員として海外の現地法人に赴任中に過労死した男性に対し日本の労災保険が適用されるか争われた訴訟の判決がありました。
この男性の会社は海外派遣の特別加入をしておらず、一審では労災適用を認めない判決を言い渡していました。
しかし、今回は「日本からの指揮命令関係などの勤務実態を踏まえて判断するべきだ」「男性は本社の指揮命令下で勤務していた」として、労災保険の適用が認められました。
ちなみに過労死1ヶ月前の時間外労働は約104時間だったとのことです。

多くの企業が、この「海外派遣の特別加入」を行っておらず、海外赴任者の労災が認められなかったケースが多かったと思われます。
その意味では画期的な判決ですが、やはり制度として「海外派遣の特別加入」があるのですから、従業員を海外に派遣する場合は事前に手続きを行うべきでしょう。

ちなみによくある相談で「海外派遣」と「海外出張」の区別があります。
「海外派遣」は先にも述べた要件を満たす人で労災保険による「海外派遣の特別加入」による「給付が受けられます。
「海外出張」は例えば、商談、打ち合わせ、会議、調査、視察、見学、突発的なトラブル対処などで短期的に海外に行くケースです。
「海外出張」中の労災については、通常のその方が所属する事業場の労災により給付を受けられます。

上記ご理解の上、適切な手続きを行ってください。

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