オールウィン社会保険労務士事務所

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2017年06月16日 [Default]
旅行大手企業が違法残業容疑で書類送検されました。
送検されたのは法人と労務管理を担当する幹部社員2人です。

誰もが知っている大手企業と言っていいでしょう。
日本全国に営業所があります。
日本だけではなく海外にまで進出している企業です。

そんな大手企業だから労務管理もしっかり行っているんだろう?

いやいや、最近は大手と言われる企業がどんどんボロが出てきます・・・。

この会社、「全国の労働局」から2010年どから「5年間で十数回」も違法残業で是正勧告を受けていました。
十数回ですから、最低でも1年に2回はどこかの営業所が是正勧告を受けていた・・・ということになります。
すごいですね〜!!

普通の感覚ですと、1回でも是正勧告を受ければ「まずい!!」となりますよね?
そして、是正報告書を提出して、次に何か言われても大丈夫な体制をとると思います。

しかしこの会社は違いますね。
大手企業でしたら、普通は1回でもどこかの営業所で是正勧告を受けたら、全社で共有し、トップダウンで改革を実施するのが当たり前だと思います。
ところが、なんと十数回の是正勧告をほとんど「無視」して改善しなかったのです!
さすが大手企業となると、こういったところでも対応が違いますね!
「ある意味すごい」と感心してしまいます(苦笑)

まあ、結局のところは、「改善が見られない」と判断されて書類送検されてしまったわけですが・・・。
大手なりの甘さなのですかね・・・。

書類送検

ちなみにこの企業は労使で時間外労働の上限を「月78時間」に設定していました。
微妙な時間ですね〜。
過労死ラインの一歩手前ですね〜。
一応はそれ以上はやらないように・・・とは考えていたのでしょうかね〜。

しかし、結果として上限をはるかに超える時間外労働をさせておりました。

これで「過労死」なんてことになったらどうなるか考えているのでしょうか・・・?
いや、うちの会社は大丈夫!という根拠のない考えがあったのだと思います。
労働局の担当もそういった「企業風土」を指摘しています。

当事務所のお客様でも中小企業ですが長時間労働になりがちな企業はあります。
それでも、リスクを考えて少しでも改善していこうと一緒に考えております。

時代の変化についていかないと大変なことになります。
「リスク管理」が今ほど大事な時はないのではないでしょうか。

2017年06月14日 [Default]
「年俸制なら残業代は含まれているから支払う必要はない」・・・

これはダメですね。

もし残業代も含むなら、基本的には年俸に含まれる残業時間と残業代を明記しておかなければいけません。
疎かになりがちですし、そもそも雇用契約書が無ければ大問題になりますのでご注意ください。

さて、高額な年俸で契約している医師にも残業代を支払うべきかという訴訟が最高裁でありました。

高額な年俸とは・・・
実に年俸1700万円!
とても良い給料ですね・・・羨ましい・・・。

病院と医師は雇用契約書を結んでおりました。
そして、病院の規定に基づき、「午後9時以降か休日の必要不可欠な業務」に対しては別途残業代は支払われておりました。

いい条件じゃないか〜、と思ってしまいますが、この医師は違います。

「1日8時間を超えた部分から午後9時までの残業代を払え」と提訴したのです。

医師残業請求

実際の残業時間はよくわかりませんが、一応理屈は通っております。
医師という職業上、とても大変な仕事ですから一般的にも給料は高いですし、残業を毎日ではなくても9時までやることがしばしばあったり、休日労働がかなりあったというのであればなおさら言いたいことは分かります。

しかし・・・医師という職制は置いといて、こういう要求をすべて鵜呑みにしていたら経営側はたまったものではありません。
雇用契約書に不備があったのは確かです。
しかし、雇用契約をする場で9時までの残業に対しての手当は年俸に含まれているのか確認はできたはずです。
私は双方に問題があると思います。

多くの企業で年俸制を採用して、実際に残業代のことを記載しているのはどれだけあるでしょうか?
おそらく年俸にすれば必然的に残業代は含まれていると認識している経営者の方は数多くいらっしゃると思います。
そして、残業も含めて年俸〇千万円と提示する。
契約の際には労働者側も残業代が含まれているか確認しない・・・。
退職してから未払い残業請求を起こす・・・。

こんなことが毎日のようにありますし、当事務所のお客様でもお困りの経営者様がおられるのが事実です。
労働基準監督署や裁判所も労働者側に立つことがほとんどで経営者(とりわけ中小企業経営者)の目線に立つことはほとんどありません。あくまでも「法律上」「就業規則上」「規程上」に基づいて判断という実情です。

確かに労働者を保護するのは大切です。企業にとっても労働者は「人財」ですから言うまでもありません。
しかし、退職前や退職した後に「あらさがし」をして労働基準監督署や裁判に訴える人を保護するのはいかがなものでしょうか?
世間では「ブラック企業」が話題になっております。
しかし、私個人的には同時に「モンスター社員」が数多く存在することも非常に大問題だと思っております。
本当に経営者の皆様はこの数多く存在する「モンスター社員」に大変な思いをしているのです。

話が少し逸れてしまいましたが、一審の地裁、二審の高裁ともに「時間外手当は年俸に含まれていた」と判断しました。

この訴訟の判決は7月7日にあります。

私個人的には、法律や規則に則るのは当たり前で重要なことは分かりますが、訴訟等になった場合はあくまでも一般的な目線で常識的な判断をしていただきたいと強く思っております。

同時に労働者を守るのは良いことですが、こういう問題が多発している今の世の中を勘案して、国には中小企業経営者の労務管理実態もよく把握していただき、必要があれば国の政策として中小企業経営者の労務管理の指針を作成してもらえれば経営者も労務管理をやりやすいのではないでしょうか。
労使双方が納得して会社を盛り立てていくには、そういうことも必要なのではないかと考えてしまいます。

2017年06月09日 [Default]
「司法書士が710万円横領」

同じ士業としてはビックリするとともに注目してしまいます。

どのようなことだったのか?
そもそも司法書士の業務を把握しないと難しいと思います。
司法書士は簡単に何をする方たちなのかというと、
まず最初に思い浮かぶ、そして必ず依頼するのは「登記」業務です。
土地や建物の不動産登記や、会社設立の際の法人登記などがありますね。

また、今もテレビやラジオで宣伝されておりますが、ここ数年で大きな問題となった「過払い金返還請求」。
最近まで多くの司法書士さんがこちらの業務に携わっていたのではと思われます。

そして、高齢化社会が進むにつれて、今も認知症の問題が大きく取り上げられております。
認知症になった方や障害者などの財産管理や生活援助を代理で行う「成年後見人」という業務を行っている方もおります。
この「成年後見人」になるには、家庭裁判所に選任される必要があります。

成年後見人

今回の「横領」は、その「成年後見制度」の中で起きてしまいました。

起訴されたのは30代の司法書士です。
家庭裁判所の選任を受けて80台の女性の成年後見人として業務を行っていた際に、
定期預金を勝手に解約するなどの手口で約710万円を横領したとのことです。
しかも、同時期に成年後見人を務めていた男性2人からも計190万円を横領していたこともわかりました。

本人はおそらく司法書士業務はできないでしょう・・・。
長らく懸念されていた事案なので、正直申し上げて自業自得だと思います。
それよりも、同じ「成年後見人」として真面目に業務に励んでいる司法書士の皆様には大きな衝撃でしょう。
お客様も「うちの司法書士さんは大丈夫かな?」と絶対に思うに違いありません。
業界を挙げて信頼回復に努める必要が出てくるでしょう。

とはいえ、「成年後見人」業務を行っているのは実は司法書士だけではありません。
本人の親族は勿論、弁護士や税理士、社会福祉士などの方たちも行っております。
そして、最近では我々社会保険労務士も一部で行っているのです。
それだけ今現在、そして今後に向けて重要な仕事なのです。

しかし、なぜ司法書士が横領など行ったのでしょう?
司法書士と言えば、試験の難易度が高くそう簡単になることはできません。
実務を覚えるのも大変でしょうし、年収も当然高いのでは?と思うのではないでしょうか?

今回起訴された司法書士は独立開業しております。
我々社会保険労務士業界もそうですが、士業=年収が高い、というのは間違いです。
これは弁護士や税理士なども同じで、一部の事務所は相当年収が高いのは事実ですが、
小規模で業務を行っている事務所は正直申し上げて一般サラリーマンの年収に届くか届かないか、だと思います。
これが更に、開業してすぐの方は当然ほとんど顧客がおりませんので0からの出発もよくある話です。

そうです。
この司法書士も独立して間もなかったのです。
固定客がおらず、将来見通しも立っておらず、開業して事務所を設立したは良いものの、収入より家賃や生活費の方が大幅に大きく大赤字の生活が続いていたようです。
そんな状態の中で得た仕事が「成年後見人」の仕事。
大きなお金(生涯財産)を扱う大変責任のある仕事です。
しかし、目先の欲求に目がくらんでしまったのでしょう・・・。
横領したお金は、全額司法書士の母親が弁償したとのこと・・・。
悲しいですね、同じ士業として・・・。

業界としても、成年後見制度としても今後は十分な対策を取っていくことは間違いありません。
今後はこうした事件は少なくなると思っております。
いや、無くさなければいけません!
我々社会保険労務士も同じです。
目先の欲求にとらわれず、事務所の信頼、社会保険労務士の信頼を考えて業務に励まなければいけません。
改めて私個人的にも胸に刻んでおこうと思う事件でした。


2017年06月05日 [Default]
昨年、某病院勤務の研修医の女性が自殺しました。
長時間労働が原因のうつ病を発症していたとのことです。

病院の労務管理上は、女性の自己申告に基づいて1ヶ月平均約48時間と把握していました。
これが正当なら労災認定は難しい状況です。
しかし、遺族が労災認定を求め調査したところ、なんと時間外労働は4カ月連続で200時間を超過!
最も多い月では251時間だったとのことです。

研修医

尋常な数字ではありませんね。
仮に1ヶ月22日勤務とした場合に251時間というと、1日8時間勤務+残業11時間30分で19時間30分・・・。
寝ている時間もありません!!
200時間だとしても毎日9時間の残業になります。

こんな働き方をしていたら誰でも潰れるでしょう・・・。
なぜ病院側は自己申告を信じただけで、放置していたのでしょうか・・・。
さすがにこの件については、労務管理の疎かさを感じざるを得ません。

遺族は「病院による殺人」とコメントしているようです。
そして、「医師不足は何の理由にもならない」と・・・。

もっともです。
自分の身内がこんな働き方をさせられた挙句の果てに自殺したともなれば黙っていられないでしょう。

それにしても何でこんなに長時間労働になっていたのでしょうか?
当直勤務・・・救急対応・・・医師不足・・・
大変なことは重々わかりますが、通常はここまでの労働時間にはならないと思われます。
早急な現状把握と今後の対策が必要でしょう。

ただ、病院全てがこのような問題を抱えているわけではありません。
私のお客様にも病院経営のお客様が何件かいらっしゃいます。
給与計算もかねて労働時間を把握しておりますが全然問題はございません。

おそらく大病院に限られるのかな?と感じます。

他の病院も是正勧告を受けている状態のようです。
それを受けて病院側も対応しております。
〇 外来診療科の絞り込み
〇 土曜日の一部休診
〇 病院閉院後の早期帰宅促進
〇 人員増加

確かに上記のようなことを実施していけば労働時間は減りそうです。
一方で、病院を頼りにしている、いやいざとういう時に今までと違うと救急患者などは行き場を失ってしまいます。

病院の労務管理は非常に難しいのです。
政府が計画している罰則付きの時間外労働規制方針でも基本的に病院は5年間の猶予期間が与えられています。
正直、病院経営者だけで対策するのには限度があると感じざるを得ません。
病院としても無理して患者さんのために動いている部分もあると思います。

やはり、病院を始め、業界ごとに現状把握の上対策を国単位で練っていく必要があるのではないでしょうか。
単純に残業規制と叫んでいるだけでは何も改善しないでしょう・・・。


2017年05月29日 [Default]
ハイヤー・・・聞いたことはあるけどなかなか縁がないです。

ハイヤー

タクシーは一般のお客様向け、ハイヤーは金持ち向け??そんなイメージです。
少し調べると、完全予約制で高級感があり、役員の移動手段や海外VIPの送迎など・・・。
乗務員もタクシー運転手の中から更に厳選されたエリートのようです。

そんなハイヤー運転手が、勤務中に心筋梗塞を起こして亡くなったのは労災かどうかが争われていました。
当初管轄労働基準監督署長は労災の認定を認めませんでした。
しかし、この認定を労働者災害補償保険審査官が取り消し労災認定しました。

この違いは何か?

争点は「待機時間」の取り扱いです。
「待機時間」は、その名の通り、運転はしないが、業務運転前の運転待機している時間です。

管轄労働基準監督署は、この「待機時間」を「休憩時間」とみなしました。
そうすると、亡くなる前6ヶ月の平均時間外労働は、月44時間55分となります。
最近多く報道されている通り、この時間を見れば過労死認定基準には届きません・・・。

しかし、審査官は「待機時間」を「労働時間」としたのです。

なぜなのか?
亡くなった男性は、待機時間中も移動先の下調べなどの業務を行っていたことが分かったのです。
これは休憩時間とは言えず、「使用者の指揮命令下に置かれた労働時間である」との判断です。
「待機時間」を「労働時間」とみなしたことにより、亡くなる前6ヶ月の平均時間外労働は月「147時間40分」となりました。
実に100時間の違いが出たのです!
当然「過労死認定基準」を超えております。

この「待機時間」はよく問題になりますね。
仕事はしていないけど、命令やお客様の依頼があればすぐに業務を行わなければならない・・・。

判断基準はずばり、「使用者の指揮命令下に置かれた状況かどうか」です。
労働基準法第41条3号でも「休憩時間と手待時間(待機時間)」について明確にしています。
一般的に、手待時間(待機時間)も拘束されている労働時間とみるべきだと。

だからと言ってすべてが労働時間とは言えないと思います。
経営者としては、「待機時間」と「休憩時間」をしっかりと区分しなければいけません。
勝手な思い込みで「仕事していない=休憩時間」と思い込んでいると今回のようなケースになりかねません。
当然未払い賃金等の問題も合わせて発生してくるでしょう。

経営者もやはり「労務に関する知識」を持たなければこれからはリスクが多すぎます。
今までのようなやり方は通用しないと考えた方がよろしいでしょう。


2017年05月26日 [Default]
大手引越会社で働いていた元従業員が、不当な異動を命じられたうえ懲戒解雇にされたことを不服として訴訟を起こし、結果和解となりました。

「異動」とは、この件では配置転換です。
配置転換とは、今まで行っていた業務とは別の業務を行う部署に異動させることです。

会社としては、異動の命令を出すのは全く問題ありません。
しかし、まずは就業規則等の明確なルールがあることが必要です。
その上でルールに則って業務命令を行うことになります。
基本的には、従業員は拒否はできません。

さて、今回訴訟を起こした従業員は営業職でした。
そして、配置転換を命じられた職はというと・・・

「シュレッダー係」

シュレッダー係

え〜〜〜!!!!

誰が聞いてもおかしいですよね。
シュレッダーって言ったら、書類を裁断する機械です。
その機械にひたすら書類を入れるだけの職務??
アルバイトでもそんなことを専門にやってる人はいないと思いますし、そもそも必要性を感じませんよね。
自分でシュレッダーに書類を持っていくか、上司が部下にたまにお願いするか・・・。
ひどすぎます・・・。

更に、賃金も約4割削減!
30万円もらってたら18万円ですよ!

これは明らかに陰険な仕打ちだと誰しもが思うでしょう。

やはりその後、会社は従業員に懲戒解雇を通告したそうです。
しかも、解雇理由を「罪状」などと記した従業員の顔写真付きの文書を社内に掲示したそうです・・・。

異動を命じられる前に当然何らかの会社と元従業員の争いがあったものと推測はされます。
それにしても、こんな「完全犯罪」的なやり方の他に思いつかないものでしょうか?
大手企業なのに顧問社会保険労務士とかいないのでしょうか??
私がもしそんなことをやると会社が言い出したら全力で止めます(笑)
やるなら今までの経緯をよく聞いたうえで「段階を踏んで行いましょう」と・・・。

配置転換が合法的かどうかは以下の基準を参考にされるとよいでしょう。
@ 当該人員配置を行う業務上の必要性があるか
A 人員選択は合理的か
B 配転命令が不当な動機でなされていないか
C 配転が従業員に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を与えるものではないか

この基準から考えれば、明らかに基準を逸脱しているのがお分かりだと思います。
会社の命令なら何が何でも許されるわけではないのです。

結果、会社はこの異動について「社会的相当性を欠いた」と認め、従業員を元の職場に戻し、謝罪し、解決金を支払うことで和解に至りました。

今回の「配置転換」の他、「転勤」、「出向」、「転籍」なども同様の考えが適用されます。
人事異動を行う際にはくれぐれも注意の上行うようにしてくださいね。

2017年05月17日 [Default]
最近、毎日のように労務問題に関する情報が入ってきます・・・。

東京都にある大手タクシー会社の未払い賃金請求訴訟の判決が出ました。

タクシー

タクシー会社と言えば、昼夜を問わず動いておりますので労務管理は大変だと思います。
お客様に直接的にかかわる商売ですから、従業員の健康管理等も重要ですね。

今回の訴訟は、「元」運転手12人が未払い賃金等約7千万円を求めました。
「元」・・・怖いですね。
私が関わる労使問題も大体が「元」従業員、ようは退職してからの訴えによるものです。
少しでも不信感をもって退職されると後が怖いです・・・。

さて、どういうことで未払い賃金が発生したかというと、以下のような事実があったそうです。

1・入社後の教習期間の賃金が労働基準法で定めた賃金を下回っていた。
2・教習終了後の時間外手当算出について、「車庫に戻ってから30分後が退勤時刻」としている。

1については言うまでもないですね。
最低賃金ではないのかもしれませんが、基準を下回っていたのでしょう。
これは反論の余地なしですね。

2については、会社側の強引な印象を受けますね。
ようは30分で残務処理が終わるのか終わらないのかという話ですが、会社側は終わるとの主張です。
実際何しているかというと、車庫に戻れば「洗車」、「日報記入」・・・。
30分では終わりそうもありません。

ということで会社に計2100万円の支払いを命じました。

額は少なくなりましたが、それでも大きな金額ですし、予期せぬ出費でダメージは避けられません。

会社としては、こちらの訴訟が片付いても、もう一つ考えなければならないことがあると思います。
それは、「既存の社員にどう説明するか」ということです。
退職者が申し立てた内容はおそらく現在在籍している社員にも適用、あるいは適用していたということだと思われます。

このように、退職者でも在職者でもどちらでも構いませんが、例え1人が訴えて、その1人が勝訴したとなれば全社に損害が及ぶことになる可能性が高いのです。
このことも経営者の皆様は頭に入れておかなければいけません。

今回の事例は、入社数カ月のことと思われます。
そして、退職後にその入社数カ月のことを訴えられる。
「入社」と「退職」がキーワードですね。
この時期に適当な扱いをしていると大きなしっぺ返しが来るかもしれません。

何度も何度も繰り返しになりますが、こういった事例を見て、自社に置き換えて「リスク管理」を進めましょう!


2017年05月15日 [Default]
厚生労働省が先日、労働関係法令違反で書類送検された企業の社名を厚生労働省ホームページに公表しました。
全国の労働局が公表した内容をまとめて一括しての掲載です。

当然誰でも閲覧可能です。

社名・所在地・公表日・違反法条・事案概要・その他参考事項(送検日)が掲載されています。
大々的に問題になっている大手広告企業を始め、労働基準法違反や最低賃金法違反が多いです。
ただ一番目についたのは労働安全衛生法違反でしょうか。
労働安全衛生法は、作業内容や作業方法、安全対策、危険な薬品への対応などを厳しく定めています。
それこそ、一歩間違えれば死と隣り合わせの作業を行わせる企業にしっかりした対応を求めています。
これは当然法律に則って行わないとリスクが大きすぎます。
過労死も大問題ですが、労災事故死も大問題です。

安全衛生法

経営者の皆様には是非この公表内容を見ていただきたいと思います。
企業名はどうでもいいです。
大切なのは「事案概要」です。
簡略化されていますが、こういうことをしたから違反で送検に至ったという経緯が記載されています。

是非とも自社で同様のリスクはないかを再点検していただきたいのです。
特に「建設業」や「製造業」の経営者の皆様は是非チェックしてほしいと思います。
先ほど述べた労働安全衛生法関連の事案がかなり掲載されております。

他にもどこの企業も気を付けなければいけない事例は未払い賃金等の他に下記のような事例がありました。
・36協定未届出での残業・休日労働の実施
・労災休業4日以上での私傷病報告未提出
・労働基準監督署調査時に虚偽の書類提示
・外国人技能実習生への対応
・解雇予告手当を支払わずに解雇

公表されている事案に違反していれば直ちに書類送検!とはなかなかならないと思います。
大方、違反の内容、是正勧告後の対応が悪く、悪質な場合にこうなった事例が多いのではないでしょうか。
しかし、一発で書類送検にはならない!という保証はありません。

企業名が公表されれば企業にとっては致命的だと思います。
取引先からの不信感・・・
従業員の会社への不信感・・・
従業員の新規採用が困難になる・・・

他にも当然未払い賃金の支払いや、労災事故があればその慰謝料、裁判になれば・・・。
大変です!!

一度この330企業・事業場の事例を参照いただき、自社に当てはめてリスク管理することを強くお勧め致します。

2017年05月12日 [Default]
企業だけではなく官公庁や市区町村役場でも残業問題はあります。
学校の先生なんかも大変ですよね。

今回は、横須賀市の残業削減取り組み事例を紹介致します。

ずばり「帰るまで見守り」方!
そうです、各課の課長が部下が全員帰るまで残り、残業の状況を確認するという方法です。

皆様はどう思いますか?
私個人的には??です。
私の理想は、上司が率先して「効率的に仕事をこなし早く帰社する」、「それを見て部下も同様に効率化を目指し早く帰社する」・・・この流れを作ることです。

この方法では、まず課長が残業することが確定です。課長も職員です・・・。
次に、課長が部下にプレッシャーを与えることにならないかです。
「お前らが終わらないと俺は帰れないんだからさっさと仕事終わらせろ〜!!」なんてことになれば部下の仕事も中途半端に・・・。
職場の風通しも悪くなってしまう可能性もあります・・・。

帰るまで見守り月間

しかし、残業が多いのであれば何かしらの策を講じなければなりません。
その点横須賀市はこの方法を、あくまでもひと月に限って「見守り月間」として実施しました。
お試しとしてはやってみる価値はありますよね。
何もしないのが一番ダメですから。

結果はというと、
前年比で2割弱残業時間トータルが減ったとのことです。
一人当たりで月約2時間減った計算になります。
単純比較は業務の繁忙等もあり難しいですが一応結果は出たのです。

さらに、「見守り月間」が終わった後も5か月間連続で前年比で残業が減ったそうです。
課長さん頑張ってるんですかね(苦笑)。

結果はどうあれ、やはりまず第一歩として策を講じ、実施したことに意義があると思います。
実施したことによって職員たちは自分たちの残業時間を気にしてくれていると感じるのは間違いありません。
そこからコストパフォーマンスを上げる意識づけができれば大きな一歩でしょう。
あとは、課長等上長の残業時間をどうするかです。

今ほど過重労働が問題になっているときはありません。
官民挙げてより良い残業削減方法を提案しあっていくことが必要でしょう。
業種によっても方法は全く変わってきます。
業種単位での意見交換や情報交換も有意義でしょう。

我々社会保険労務士は様々な業種のお客様と接して諸問題に取り組んでおります。
良い取り組み事例があれば、業種問わず他のお客様にも効果があるか情報提供するだけでも大切なことだと思います。
もちろん、積極的に我々が「こうしたらいかがでしょう」という発信もしていかなければいけません。
お客様の労務管理リスク削減の一助となれるようにこれからも邁進しなければと思っております。


2017年05月10日 [Default]
社会保険労務士の皆様は既に耳にしているのではないかと思います。

政府の規制改革推進会議において、労働基準監督官の業務の一部を社会保険労務士に委託するように求める提言が出ております。

なぜこのような動きになっているかと申しますと、
現在労働時間等の問題が多発しておりますが、そうしたことを調査や是正すべく動く労働基準監督官の絶対数が少ないことにあります。
ようは、本当はもっと多くの企業の労働実態を調査しなければいけないのにできていないわけです。
できないうちにいろいろな問題がどんどん浮き彫りになってくる・・・という状況なのです。

では社会保険労務士が何をやるのか?
提言では、「時間外労働・休日労働に関する協定届」(36協定届)を届け出ていない事業所を対象に、社会保険労務士が残業の有無などを調べ、問題がある場合には強制捜査権を持っている監督官に引き継ぐ・・・という内容です。
厚生労働省も受け入れる方針だとか。
嫌われ役ですね・・・(苦笑)

確かに労働基準監督官の業務を補佐できる民間の団体だったら、やはり社会保険労務士が妥当ですね。
36協定を届け出ていない企業や、存在自体知らない経営者も全国には山ほどあります。
手分けして調査すれば少しは監督官の負担も減るし、未然に労働問題を防ぐこともできるかもしれません。
でも嫌われますね・・・(苦笑)

さて、私が気になっているのは、「社会保険労務士に」と言ってもどういう基準でどの社会保険労務士に委託するのでしょうか?ということです。
多くの顧問先を持っている社会保険労務士は実質そのような業務を行う時間は無いと思います。
そうなると比較的時間のある社会保険労務士に・・・。
これは大きなリスクをはらんでいると思います。
社会保険労務士といってもいろいろです。
実務経験が無くても社会保険労務士として仕事ができてしまうのです。
経験の浅い社会保険労務士に委託した結果、逆に間違いがあって企業にも監督官にも迷惑をかけてしまったら社会保険労務士への信頼が失墜してしまいます。
この委託する社会保険労務士の選別基準は厳格に決めた方が良いと個人的に思っております。

例えば、年金相談に従事する社会保険労務士も、定められた講習などを受けて選ばれた方だと思います。
社会保険労務士とは別に、個別労使紛争に携わることができる「特定社会保険労務士」なんていうのもあります。
こちらはものすごい時間の講習を受けたのちに、試験を受けて合格するとなることができます。
ようは、その道(今回でいうと労働実態調査全般かと思いますが)の知識が無いとまずいでしょう。

私はというと、
今は顧問先のお客様の業務を日々行っており余分な時間はありません。
多少余分な時間があったとしても、片手間でできる仕事ではないので難しいでしょう。
年金相談員の社会保険労務士も片手間ではなく、そちらが本業でやっているでしょうし。
「特定社会保険労務士」も少しは考えましたが、何しろ講習を受けている時間が無い・・・。
無理して時間を作って「特定付記」になったとしても、現状ではニーズはあまり無い・・・。
そんなわけで、少しずつ顧問のお客様を増やしながら日々頑張っていく方が性に合っています。

社労士

こんな話をしていながら、国で決定した際にはもしかしたら企業に調査訪問することになるかもしれません・・・。
もしかしたらこのブログを見ていただいている経営者の皆様の会社にも・・・。
その時はお手柔らかにお願い致します(笑)

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