2016年10月 - ビジネスブログ

オールウィン社会保険労務士事務所
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2016年10月14日 [Default]
某社の社員が、同社に対して「未払い賃金の請求」を求めて提訴しました。

某社はその行為に対し、同社員に対し定年後の再雇用を拒否しました。
同社は労働組合との団体交渉などで「会社を提訴するような人とは再雇用契約するつもりはない」と発言したようです。

同社社員はこれに対し、「社員であることの確認」と「未払い賃金の請求」という形で再提訴しました。

雇い止め

上記のような理由で再雇用の拒否は妥当なのか?

結果は訴訟によりますが考えられるのは以下のようなことでしょうか。
1・本当に未払い賃金があるのかどうか?
2・未払い賃金があるとすれば支払う努力や話し合いができていたのか?
3・会社を提訴したことによる再雇用拒否がそもそも妥当なのか?

1に関しては、争う余地もありませんね。
未払い賃金が本当にあるのであれば、某社は早急に支払う責任があります。

2に関しては、某社は「再雇用契約交渉の場」での団体交渉には応じているようですが、
そもそもの発端となった未払い賃金に関しての話し合いがあったかどうかは定かではありません。
訴訟になる前に某社と社員の間で話し合いの場がもたれたのか?支払いの有無に関しての双方の歩み寄りはあったのか?などが重要です。

3が今回の問題です。
違法なことをする会社を提訴したことをもって雇い止めが許されることはない、と私は思います。
未払い賃金があれば、それを支払うように求めるのは労働者の当然の権利です。
未払い賃金があるにもかかわらず一切支払わないという会社の主張は一切認められないでしょう。

定年後の再雇用については現在、本人が希望する場合は65歳まで継続雇用することが義務付けられています。
例外として解雇事由に該当する場合や心身の問題等がある場合は雇い止めも許されますが原則は再雇用です。
この解雇事由にも今回の事例は該当しないでしょう。
某社の一方的な判断で不当解雇となると思います。

以上は、あくまでも私個人的な見解ですので判決を注視したいと思います。

とにかく、何事においても、「問題があれば労使双方誠意をもって解決に向けて話し合う」ことが必要なのではないでしょうか。
勿論問題になる前のリスクマネジメントはする必要はありますが。

皆様も何かあれば誠意をもって労働者と話し合いの場を設けてください。
必要であれば社会保険労務士に相談してください。
そうすることで裁判などにはならず済むことは大多数だと思います。

2016年10月13日 [Default]
皆様も既にニュース等で耳にしているかもしれませんが、大手広告会社にて「若手社員の過労自殺が繰り返される」という痛ましい事件があり、労災認定されることになりました。

この企業では、25年前にも入社2年目の男性社員が長時間労働が原因の過労自殺がありました。
その際、遺族が起こした裁判で最高裁が会社側の責任を認定し、それ以降の過労自殺で会社の責任を認める司法判断の流れを作りました。
その会社での同様の事件です・・・。

昨年末、入社1年目の女性社員が過労自殺し、この度労災認定が下りました。
入社1年目ですから4月に入社して、半年後の10月から11月にかけての1ヶ月で105時間の時間外労働を既に行っていたといいます。
ちなみに、試用期間が終わった10月からが本採用だったとのこと。
これだけの情報でこの企業の労務管理状況や人の使い方、経営感覚等がわかります。
更に、時間外労働について上司から「あなたの残業時間は会社にとって無駄」などと注意されていたとのことです。
最悪の上司です。
無駄なら早く帰るようにするべきです。
無駄なら無駄じゃなくなるように効率的な仕事の進め方を教えるべきです。
労働基準監督署は「仕事量が著しく増加し、時間外労働も大幅に増える状況になった」と認定し、心理的負荷による精神障害で過労自殺に至ったと結論付けました。

しかし、労災認定が下りたとしても、亡くなった方は戻ってきません・・・。
本人もご両親や関係者の方も無念でならないと思います。

夢をもって大手企業に入社したのに、全然現実は異なりひどい扱いを受けていたのでしょう。
無念な気持ちになるとともに、若い命を犠牲にした、それも2人目、そんな企業を許せません。
社会的評価は地に落ちることでしょう。

前にも述べましたが、この企業は以前にも若い社員が過労自殺しており、その結果、過労自殺で会社の責任を認める司法判断の流れを作った企業として有名です。
25年前の遺族とは和解し、責任を認めて「再発防止を誓った」そうです。

結局その場しのぎだったということになります。
会社は変わっていなかったのでしょう・・・。
先ほどの上司の言葉でわかるように、まず上司の安全配慮に対する意識が不十分過ぎる!
労働時間の管理がずさんすぎる!!

過労自殺を防げ

経営者の皆様へ
人を雇う以上は、責任をもって育てていく義務があります。
決して対岸の火事ではありません。
いつ御社でそういう事態になるかもわかりません。
人を使用するということは大変なことです。
この痛ましい事件を教訓にして、是非とも自社の労働時間管理体制や、社員の就労状況等を細かく見直してください。

私ども社会保険労務士も積極的にかかわっていかなければいけません。
いざというときのリスク管理のためにも、ぜひ一度社会保険労務士に相談してみてください。

2016年10月05日 [Default]
ハローワークと言えば、雇用保険と失業給付を思い浮かべると思います。

皆様は失業給付を受給した経験はお持ちでしょうか?
今日はこの失業給付の不正受給問題の話題です。

一般の会社勤務の場合ですと、失業給付をもらうには1年以上の勤務(日数要件はあります)が必要となりますね。
会社都合退職だと6ヶ月で良かったりもします。

今回問題となったのは「日雇い労働者」の失業給付です。
日雇い労働者は、失業給付(日雇労働求職者給付金)をもらうためには、日雇手帳を取得し、前月までの2か月間で計26日以上日雇い仕事をしていることが必要です。
この確認には、労働者が働いた日ごとに事業主に雇用保険印紙を日雇手帳に貼ってもらうことで証明となります。

この度、会計検査院の大掛かりな調査で、全国59のハローワークを調べたところ、半数以上の32のハローワークで不正受給が発覚したとのことです!!この調査だけで約110人の労働者が計約9千万円を不正受給していたと!!

なぜこんなことが起きるのか??
答えは簡単です。
雇用主と労働者が一緒になって、仕事をしていない日に印紙を貼ってあげる。
現在、仕事をしていないと偽って受給する。

こんな単純なことで不正受給できてしまうのです!!
何とかならないのかハローワーク!!
確かに実態調査までしていたら人数が多すぎて手に負えないのかもしれない。
しかし、こんな不正受給を放置していたら働いている人がバカを見る!!

実は私も若い頃に一度だけ失業給付を受給したことがあります。
認定日にハローワークに行って「仕事見つかりません」といえば簡単に受給できてしまいました。

問題なのは、本当に仕事を探しているのかどうかです。
「失業給付をとりあえずもらってから職探しをしよう」という人は非常に多いと思われます。
そうかと思えば、毎日のようにハローワークに通って必死に職探しをしている人も多くいます。

いずれにしても「不正は絶対悪」「職探しを本気でしていない人には給付しない」を徹底してほしい。
今まで簡単に給付してきたが、今度ばかりは本腰を入れて改善してほしい。

失業給付

余談ですが、たまにお客様からこのような相談があります。
「今度退職する人が失業給付をすぐに受給したいから離職票は会社都合にしてほしいと言われたけどどうなのかな?」
だめですよ。社長。
確かに、長年頑張ってきた社員だったら最後に本人の願いを考慮してあげたいという気持ちは分かります。
しかし、それとこれとは別ですよ。
これもれっきとした不正です。
また、会社都合にすると半年ほど助成金が受給できないなどの不都合が生じる恐れがあります。
事実に基づいていきましょう!!と。

長々と述べましたが、上記のように事業主が加担しているケースも多いです。

こんなことで逮捕されたらバカバカしい。
絶対にやめましょう!!

悩んだらとりあえず社会保険労務士に相談してください!


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